その庭木いつまで放っておくのですか?

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剪定をしないと良いことはありません

せっかく気に入った木を植えても,放っておけばジャングルになります。
うっそうとした家は、日当たりは悪いし,いろいろな虫のたまり場になります。
健康にもいいはずがありません。

また、隣地にはみ出しご近所さんの迷惑になります。世間体も悪く見た目にも,「ここには本当に人が住んでいるのか?」「だらしない人だな」などと人間関係においてもマイナスのイメージを持たれかねません。

最近、街では「こんな切り方なら,いっそ切り倒した方が良いのではと」思うような庭木を多く見かけます。
ご自分で切られたのか、植木屋さんが切ったのかはわかりませんが非常に悲しい限りです。

ここでは、自分でもできる剪定について解説します。

間違った剪定をすると

剪定とは、見た目を良くするだけではなく、木が栄養を効率よく吸い上げたり、生長を促進したり、日当たり・風通しを良くすることで病害虫の繁殖を予防することもできます。
また、木が大きくなりすぎないように調整することも、剪定する理由のひとつです。

ただし、間違った剪定をするとせっかく植えた庭木が台無しになってしまうこともあります。
・樹形が悪くなる(せっかく自然形が美しいのにブツブツになってしまう)
・花や実がつかなくなる。
・サッパリさせたつもりがますますボサボサになった。
・切った枝が枯れてしまった。

など、間違った剪定をすると木に負担をかけ結果見た目を悪くし
せっかく癒やしのために植えた庭木が逆にストレスになってしまいます。

 

残念なキンモクセイ

正しい剪定とは

剪定の時期

「正月を迎えるからお庭をさっぱりさせたい」と、年末になると剪定を依頼されるお客さんが増えます。しかし、何でもかんでも真冬にバッサリと切るのはいかがなものでしょうか。

植木にはそれぞれ剪定に適した時期というものがあります。

とはいえ、お客様に「切ってくれ」と言われれば「時期が悪いから」とはなかなか言いづらいものです。

お客様にしても、庭木それぞれの適期に応じて何度も剪定に来てもらうのは、コストがかかってしまいます。

自分で庭木を剪定することができれば、時期に応じた剪定が可能になり常に美しい状態を保つことができます。

常緑広葉樹(サツキ、ツバキ、キンモクセイ、カシなど)

主な剪定は、6月から7月と秋に行います。

常緑樹は落葉樹に比べて芽生えの時期が遅くなります。十分に気温が上がり、新芽が出そろう6月から7月ごろに、枝を主幹の付けから根間引いて自然な樹形に整えます。(土用の頃のような暑い盛りに剪定するのもよくありません。)

その後、寒さに備えるため、秋から寒さの厳しい真冬を迎える前までに枝葉の数を減らしておきます。

また、花を楽しむ木の場合は花が終わった直後に、剪定を行うのが基本です。
一般的に樹木は花が終わると程なくして、来年の花に向けて準備を始めます。(花芽をつける)
特にサツキやツツジなど、冬に刈り込んでしまうと花芽をすべて刈り取ってしう事になり、翌年花が咲かなくなってしまいます。

 

落葉広葉樹(ハナミズキ、ヤマボウシなど)

主な剪定は、晩秋から冬に行います。

この時期であれば、葉がないので枝ぶりも分かりやすいですし、芽の状態を確認しやすいので、慣れてくれば花芽と葉芽を見分けて剪定することもできるようになります。

また、冬場の剪定は無駄な徒長枝(著しくバランスを乱す枝)を防ぎ、茂った樹形を作る効果があります。ただし、タイミングが大切で、新芽が出てくるような晩冬から早春は剪定を控えた方がいいです。特にモミジ類は発芽の時期が早いので、晩冬の剪定によって枯れることがあります。

花を楽しむ木の場合、花芽分化の時期に左右されます。基本は花芽分化の40〜50日以上前に行います。

 

針葉樹(コニファー類)

針葉樹の剪定は、芽吹き頃(新芽が出る頃)が適期(松を除く)
針葉樹は剪定時に葉が変色してしまうので、新芽が出る頃に剪定を行うのがおすすめです。
剪定をする場合必ず葉があるところまでで切るようにします。
針葉樹は葉の無いところからは新しく葉が出にくいという特徴を持っていますので、くれぐれも葉を残して剪定します。
刈込みをすると葉先が茶色くなりのでなるべくハサミによる剪定を行います。

 

 

庭木として人気の高い樹種のおおよその剪定適期

シマトネリコ:3月、7月中旬~8月
オリーブ:3月~4月中旬、7月、8月
ソヨゴ:6月、7月、8月
モミジ:1月、8月、12月
キンモクセイ:3月、8月中旬~9月中旬、11月、12月
ツバキ:3月、11月中旬~12月
ツツジやサツキ:5月下旬〜6月

剪定の方法

透かし剪定

伸びすぎたり混みすぎたりしている枝を適度に透かす剪定方法です。

透かし剪定によって込みあった枝や葉が減ると、風通しがよくなり日も差し込みやすくなります。そうすると病害虫の発生を抑えることにつながるり、健康的に育てることができます。

風通しが悪く日も入らないような場合は、病害虫が住みつきやすい環境になってしまっているので、早急に剪定をしたほうがよいでしょう。

また、透かし剪定をしてすっきりとした見た目になれば印象も良くなります。

切戻し剪定

切戻し剪定とは、大きくなった庭木の枝を3分の1から半分程度切り、樹形を整える剪定方法です。

ここで大切なのは、”小枝のあるところで切る” ”ぶつ切りにしない”ことです。

よく見られるのは、切戻ししているつもりでも枝先ばかりを切り、刈り込みとたいして変わらない切り方をしていることです。
こういう切り方をすると、切り口から一斉に新芽が出だしよけいに鬱蒼としてしまい、樹形を乱してしまいます。
一步奥の枝や芽のあるところまで切り下げることが大切です。

 

刈り込み

刈り込みとは剪定とは違い、単純に高さや幅などの外形を整える為に刈込バサミで切り揃える作業のことを言います。
刈り込む深さは意識しますが芽の方向などは気にしません。生垣やトピアリーは刈り込みで仕上げるのが普通です。こまめに刈り込むほど枝先が密生して新芽も揃って同じ位置から吹きます。
刈り込み作業だけでは上部の枝が混んできて生育に支障があるので、数年に一度は剪定のような作業を行います。
特に、カイヅカイブキやコニファー類は刈り込んでいるだけでは毎年大きくなってしまうので大きさを維持したいなら枝先の切り戻し(剪定)が必要になります。

近年、マキやツバキ、五葉松までも刈込みされているのを見かけます。また、You Tubeでもマキの剪定動画で刈り込んでいるものがありますがこれらはいかがなものかと感じます。

 

剪定に必要な道具

植木バサミ(木バサミ)

木鋏(植木鋏)

比較的細身の枝を切るときや、草花の剪定に使います。

「植木バサミ」とも言いますが、職人の間では「木バサミ」と呼んでいます。手を入れるところが独特で輪になっていますが、これは剪定の際に周りの枝を不用意に傷つけないためです。

使いやすいハサミというのは、人によって様々ですが、ある程度の重量がある方が使いやすいです。
ホームセンターなどで売られている1,000円~2,000円程度の安価なものは、すぐに刃こぼれしたり、刃と刃の噛み合せが悪くなったりしますので少し値が張りますが、”国久光”や”岡垣”のものを選ぶと良いでしょう。

また、木バサミを使う際は作業用の手袋の使用をお薦めします。特に慣れないうちは、手のひらの中央を挟んで血豆を作ったり、指の皮膚が擦れて皮がむけやすいから注意しましょう。

 

剪定バサミ

木バサミでは切れない太い枝を切る際に使います。木バサミと異なり刃が片方にしかないので、細かな枝を元から切り取るような剪定には向いていません。

一般にグリップ内部にバネやスプリングがついており、少々太い枝も切りやすくなっています。太い枝は、刃の中央部で切り、細い枝は、刃先を使うと切りやすいです。

 

刈込みバサミ

枝を一本一本刈るのではなく、全体的な形を作るための道具で、生垣や玉づくりやサツキなどの寄植えの刈り込み仕立てに使います。

刈り込みバサミの使用は、慣れるまで難しいものです。左手を固定して右手で刃を開閉するようなイメージで刈り込みます。また、刃先がしっかりと嚙み合わさるよう、柄を内側に絞るようにして使います。(左手は右回りに、右手は左回りに絞る。)

 

のこぎり

ノコギリには様々な種類がありますが、庭木の剪定におすすめなのは、グリップがゴム製で手に優しく、替刃式のタイプです。

家庭の庭木の剪定であれば、持ち運びや置き場で邪魔にならない折りたたみ式がおすすめです。私もゴムボーイの折りたたみタイプを使用しています。通常の家庭であれば24~27センチのものが使いやすいですが、普段使いで細かい枝をカットする程度なら210mmサイズで十分です。

ノコギリのグリップにはいくつか種類があり、木製やプラスチック製のグリップ、そしてゴム製のグリップがあります。おすすめはゴム製グリップのノコギリ。値段もそう高くありませんし、ゴム製グリップであれば衝撃を吸収してくれ滑りにくいのでおすすめです。

昔は刃を研いで使いましたが,今は「替え刃」方式が主流で1,200円程度で確実に切れ味が増すので素人向きです。ただし素人だと切れ味が良すぎて怪我をする可能性も増すの注意しましょう。また、替刃は細目や荒目の刃よりも万能目のほうががおすすめです。

 

脚立

樹木の剪定には三脚の脚立が適しています。
三脚の上部は細くなっていて庭木の間に差し込むのに向いており、下部に行くほど巾が広がることで安定性を増しています。

庭の地面は水平ではなく、傾斜もあります。傾斜のある地形の場合四脚の脚立の場合では水平に設置することは難しいですが、三脚の場合は安定して設置できます。

現在はアルミ製が主流ですが、以前はスギやヒノキの丸太を三角に組んで、竹の支柱をつけたものを作って使っていました。軽くて扱いやすく、柔軟性があるため今でもプロの中には愛用される方が多くいます。アルミ製は木製よりも重く、柔軟性がないので使用感は劣りますが、耐久性、安定感があるので多く使用されています。

 

あると便利な道具

ベルト・ハサミケース・のこぎりケース

ハサミ・のこぎりを一本のベルトに通して普段のズボンのベルトとは別にまた用意して、腰辺りに自分の好きな緩さにしてつけます。
これらを「腰道具」といいます。

 

熊手

枝や葉をかき集めるのに便利です。

大小さまざまな形状が市販されており、柔軟性のある材質のものや幅が調整できるタイプもあります。

竹ほうき

細かい枝や葉を掃き集めるのに使います。

他に、葉脈ほうきやPPほうきなど使いやすいものを選びましょう。

み(手箕)

剪定後の枝や葉を集めるのに使います。
材質が竹で編んだものからプラスチック製のものも販売されています。形が昔からほとんど変わっていないのは、一番使いやすい形がバスケットのような形だからではないでしょうか。

草集袋

剪定した小枝や葉を運ぶのに使用します。

服装

最後に服装についてですが、長袖・長ズボンはもちろんのこと帽子や手袋も必ず使用しましょう。黒っぽい服は蜂などに攻撃されやすいので避けたほうが良いでしょう。

また、脚立に登るときや木に登るときは、地下足袋を履くことをおすすめします。指先が2つに別れており足先に力が入りやすいので踏ん張りやすく 、また足にフィットする形になっているため繊細な動きにも対応出来、足裏の感覚のよく分かるため脚立や木の上でもバランスがとりやすい。

まとめ

ここでは、剪定の必要性と剪定の基本・必要な道具について解説しました。

庭木を植えた以上、管理することは当たり前のことです。自ら剪定できるようになれば常に美しい樹形を保つことができ、毎年美しい花や実をつけてくれます。

かといって、庭木の中には素人では難しいものや手に負えなくなるものも出てきます。そんなときは、まず専門家に相談してみることをおすすめします。

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