理想の庭を作るには、余計な知識は必要ありません。園芸雑誌や庭の写真集を見てはいけない!

本屋に行くとガーデニング・園芸コーナーが設けられ、多くの写真集や園芸雑誌が置かれています。

これらの雑誌には本当に素晴らしい庭の写真が載っています。

そんな写真を見て「素敵!」「きれい!」と感動を求めて見る分にはいいのですが、庭を作る参考として「どんな庭がいいのかな」「どれを取り入れようか」というように、庭を作る手本にするのはおすすめできません。

なぜなら、あなたの庭と雑誌にのっている庭とでは、敷地の広さや日当たり、気候など立地条件が違い、そのままあなたの庭に取り入れるのは無理があるからです。
また、雑誌や写真集にのっている庭のほとんどはガーデンデザイナー(業者)が、設計した「自慢の庭」です。これらの庭は専門業者が常に管理をすることで美しい状態を保っています。素人の管理だけでは写真のように維持するのは不可能です。
では、何を参考にすればあなたにとって管理しやすい「理想の庭」ができるのでしょうか?
このページでは、なぜ園芸雑誌や写真集を見てはいけないのか、どのように知識を得たらよいのかについて説明します。

Contents

園芸雑誌の写真は、「完成された庭」であり現実的ではない

庭の写真が載った雑誌を、あなたは何冊持っていますか? どれ位見ましたか?

きっとたくさん見たことでしょう。

どの写真を見ても本当に綺麗で素敵な庭ばかりですね。

そんな写真を見て「こんな庭を作りたい」と思うのも無理はありません。

しかし、ここに写された庭は、「ほぼ完成された庭」ばかりです。言い換えれば、よく手入れ(管理)された庭なのです。

一般には、庭の管理は専門業者、いわゆる造園業者や庭師にお願いすると思います。しかし、一般の家庭に庭師などが来て管理するのは、1年に1回、多くても年に2回でしょう。この頻度の管理では、写真のようなすばらしい庭を維持することはできません。専門業者が来ない間も、あなた自身で手入れしてこそ雑誌の写真のような庭ができるのです。

現実的に、あなたに庭の管理ができるでしょうか? 管理のできない庭を持つことは、大きなストレスになってしまいます。

雑誌の写真を見て理想を追う前に、あなたがどれだけ庭の管理をすることができるのかを考える必要があります。例えば、「草取りなら出できる」「草花の植替えができる」「生け垣の刈り込みができる」「何もできることはない」など、人それぞれです。あなた自身だけでなく、子供一緒に草引きをするなど家族でできることも考えてみましょう。こうすることで、今後あなたがどれだけ庭の管理をすることができるのかがわかります。

そして次に信頼できる施工業者を見つけましょう。信頼できる施工業者とは、あなたの話を親身になって聞いてくれ、お住いの地域で長年営んでいる業者です。信頼できる施工業者に、あなたの希望する庭がどういうものなのか、庭で何をしたいのか、どれだけ管理することができるのかを伝え、あなたに合った庭の計画を立てましょう。

そうすることで見た目も美しく、管理のしやすい庭を持つことが出来ます。このような庭は家族や自らが管理することで庭はどんどん良くなっていきます。

家は、完成してから傷んでいきますが庭は完成してから良くなっていくのです。

植物ごとの適性や植え付け方や剪定(せんてい)方法にも注意

園芸雑誌には植物ごとの適正や植え付け方、季節の作業や植付け時期などくわしく書かれています。しかし、ここに書かれている植付け時期などは、本の筆者の感覚や基準で書かれていることが多く、間違った内容であることがよくあります。

春になるとテレビのニュースで「桜前線」と称し、各地の桜の開花時期を伝えています。このように日本では地域によって桜の開花時期には違いがあります。地域によって気候が異なるのです。これと同じように、同じ植物でも地域により植え付け時期や開花時期が違います。

園芸雑誌に「ひまわりの種は4月がまき時」と書かれていても、南の地方ではもう遅いかも知れません。また、北の地方では早すぎるということもあります。

また、剪定(せんてい)についても同様です。剪定(せんてい)とは植物の枝を切り、形を整えたり、風通しを良くしたりすることをいいます。例えば「落葉樹は11月以降に剪定しましょう」と書かれている場合がありますが、落葉樹(冬に葉の落ちる植物をいいます)の剪定に適した時期は、葉が落ちてから新芽が出るまでです。したがって、葉の落ちる時期も地域のよって違いがあるため「11月以降に剪定しましょう」というのは正しいようで実は間違いです。

では、どうすればあなたの住む地域での最適な植物や、植えつけ時期、各植物の適切な剪定時期を知ることができるのでしょうか? いちばん良い方法は、信頼できる地元の園芸店や造園会社に聞くことです。地元の園芸店や造園会社は、植物を扱うプロです。地元の気候条件をよく知り、その地域に適した植物や育て方などを熟知しているため相談すると良いでしょう。

また近所でよく手入れされた庭の持ち主聞くことも良いです。近所であれば気候も変わりません。また、よく手入れしている人は年間を通じて庭を見ていますから、季節ごとの植物の様子をよく知っていますし、植物が好きなのです。

園芸雑誌のおすすめや人気植物を買ってはいけない

園芸雑誌にはシマトネリコやオリーブ、ハナミズキなどがシンボルツリー(庭のメインとなる植物、記念樹)として人気です。これらの植物はホームセンターや園芸店で1メートルから2メートルほどの”ちょうどよい”サイズで売られています。

雑誌で人気の植物を見たことのある人は、「ここに人気のシマトネリコが売っている。このサイズなら自分で植えれるから買っていこうか」「この木の花はきれいだから買っていこう」「安いから買おう」と購入して自分で植えつけされる方が多くいます。しかし、これが大きな間違いなのです。

最近、お客様から「シマトネリコを自分で買って植えたのですが、大きくなりすぎたので、処分したい」「オリーブを買って玄関脇に植えたのですが、大きくなって人が通るのに邪魔なので切って欲しい」などの依頼が多くあります。

ここにあげた、「シマトネリコ」「オリーブ」は樹形が良く、大変人気の高い植物なのですが、成長が早くとても大きくなる習性があります。そのため、あらかじめ植える場所を考えておく必要があります。植物の習性を知らず、ただ「人気なので」「花がきれいだから」という理由だけで購入し「ここが空いているから」と適当な場所に植えてしまうと、後々大きな問題になってしまうのです。

このように庭に植物を植える場合には、その植物の習性、例えば、成長が早いのか・どの程度大きくなるのか・日当たりを好むのか日陰でも大丈夫なのかを調べ、植物にあった場所に植えるなければいけません。

せっかく、「安いから」と購入した植物を、「大きくなりすぎた」という理由で高いお金を払って処分するようでは本末転倒です。このようなことにならないように、地元の信頼できる造園業者に、あなたの庭にはどんな植物が適しているのかを相談することをお勧めします。

大きくなりすぎたシマトネリコの例

まとめ

このページでは、なぜ園芸雑誌や写真集を見てはいけないのかについて説明しました。あなたにとって管理の負担があまり掛からず、見栄えの良い庭を手に入れるには、園芸雑誌や写真集だけを参考にするのはおすすめできません。なぜなら、それらの庭はガーデンデザイナー自慢の完成された庭であり、あなたの庭とは立地条件が違うからです。

そうではなく、地域の信頼できる施工業者とよく相談し、自分が「どんな庭にしたいのか」「庭でなにがしたいのか」「どの程度庭の管理ができるのか」を伝えることが大切です。信頼できる施工業者と十分検討した上で工事依頼するのが、管理のしやすい見栄えの良い庭を手に入れるいちばんの近道です。

 

 

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