信頼できる造園・外構業者選びのポイント

造園・外構工事をするにあたって、最初に悩むのは「どの業者に頼んだら良いのだろう?」ということだと思います。「イメージ通り施工してくれるだろうか?」「ぼったくられはしないか?」「職人さんが、怖いんじゃないか?」など、さまざまな不安を抱えていることでしょう。

ここでは、「どのような施工業者が良い業者なのか?」「どんな業者を選んだら良いのか?」について解説します。

目的に合った施工業者を選ぶ

ひとくちに造園・外構業者といっても、様々な形態の業者が存在します。

例えば、以下のような形態の業者があります。

  • 門やアプローチ・ガレージのコンクリート打ちが得意なエクステリア工事店
  • 土留(地盤に高低差がある場合土が崩れないようにする構造物)のブロック塀やコンクリート擁壁(コンクリートで造った土留)などの造成工事が得意な土木業者
  • カーポートやフェンス、テラス、物置などの組み立てを得意とする業者
  • 植栽を得意とする造園業者、剪定を得意とする造園業者な

以上のように、それぞれに強みを持った業者が存在します。

そのため、「門やアプローチはオシャレでお値打ちだけど、植栽には提案力が無く値段も高い」や、反対に「植栽の提案力は素晴らしいけれど、ブロック工事などの値段が高い」という問題が発生します。

もちろん、すべての分野に精通した施工業者もあります。しかし、多くの場合自社が不得意な部分は下請けにまかせてしまうために、このような問題が発生するのです。

そこで、良い施工業者を見つけるためには、まず「あなたがどのような庭・外構にしたいのか」を明確にしたうえで、その部分に強い業者を見つけることが大切になります。

施工業者の種類

以下では、造園・外構工事の施工業者の種類と特徴について解説します。

造園業者

ひとくちに造園業者といってもさまざまな業者があります。

例えば、大きなプロジェクトや公共事業を中心とした大手と呼ばれる法人企業や、ゼネコン(清水建設や鹿島建設など建設・土木工事を一括で請け負う企業)の下請け専門の業者などは、規模が大きすぎて個人は相手にしてくれないでしょう。

また、ハウスメーカーの下請け専門の業者は、自社の工事量が多いので個人の仕事を引き受けてくれるのは難しいと思われます。もし受けてくれたとしても、ハウスメーカーの工事を優先するので「着工はしたけど途中でしばらく来なくなった」「ハウスメーカーに値引きさせられている分、工事金額をふっかけられた」といった問題も発生するので注意が必要です。

まその一方で、主に個人の庭を請負っている業者であれば、親身になって相談に乗てくれます。ただ、業者によって得意分野があります。洋風の庭が得意な業者もあれば、和風の庭にこだわっている業者などがあります。そこで、あなたのイメージにあう業者を選ぶことが大切になります。

他に、剪定(せんてい)や草刈りなど管理を専門にしている業者もあります。このような業者も”○○造園”と名乗っているところが多いです。こうした管理専門業者も工事を依頼すれば、売上が欲しいため簡単に請け負ってくれるでしょう。造園業者だからといって安易に発注してしまうと、「想いとまったく違う」ということにもなりかねませんので、注意が必要です。

あなたが、植栽工事をメインに工事を考えている場合は、大手の造園業者は避け地域で個人住宅を対象に請負っている造園業者を探して相談するのが良いでしょう。しかし、ほとんどの業者は、こちらの希望を伝えると「どんな工事でもできます」と答えると思います。

しかし、前にも述べたように施工業者それぞれに得意分野があります。したがって、必ず施工実績を確認するようにしましょう。

他に、古くから一般住宅の庭を施工していた造園業社が、近年外構工事も請負うようになりました。

このような造園業者は外構工事の計画をたてるときには、植木を植える場所を重視し、計画・提案してくれます。植木があることで、その家の表情が変わり、うるおいが与えられることがわかっているからです。

例えば、シンボルツリー(メインになる樹木)を一本植えることで建物が引き立ち、あなたらしい庭が生まれます。また、エクステリア業者がフェンスを提案する部分も植栽にすれば優しい印象になります。他にも、花壇のスペースを確保しておけば、花を植えて楽しむことが出来ます。

このように造園業者は、植栽を重視しプランをたててくれます。私のお客さんから以前、以下のような話しを伺ったことがあります。

おたくは植栽を重視して提案してくれるんですが、某エクステリア業者は「ここにフェンスを付けたい」というとカタログを見せて「こんなフェンスがありますがどれにしますか?」というように独自の提案や植栽の提案はしてくれませんでした。それはそれでいいのですが何か寂しい思いをしました。

私は、それを聞き本当に嬉しく思いました。

このように、造園業者は植栽のことを優先して設計・施工します。そのため、殺風景の庭では無く、他と差のつく自慢出来るおしゃれな庭をつくることが出来ます。

エクステリア業者

エクステリアとは外構工事ともいわれ、門や塀、駐車場などの建物周りの構造物のことをいいます。その施工を請け負う業者をエクステリア業者、あるいは外構業者といいます。

エクステリア・外構業者の多くは昔から下請け体質であり、今だにハウスメーカーに依存している業者が多いのも事実です。造園業者のところでも述べましたが、ハウスメーカーを優先していますので、一般の工事はおろそかにされる可能性があります。

できればハウスメーカーの下請け専門の業者は避けた方が良いでしょう。ただし、大手ハウスメーカーの下請けをやっている業者は、一定の技術基準をクリアして下請け業者になっている場合が多いので、施工面で信頼できるという側面もあります。一概に、下請けだから全てダメというわけではなく、「大手ハウスメーカーの下請けもやっているが、エンドユーザー(一般の個人)との直接契約もやっている」という業者さんであれば、エンドユーザーに対しても親切に対応してくれます。

近年、展示場を展開するエクステリア業者が多くなりました。これらの業者はエンドユーザー(一般の個人)を相手に商売をしているので親身になって相談に乗ってくれます。また、その地域で看板を掲げて商売をしている以上、いい加減な仕事などできるはずはありません。門周りやガレージ工事をメインで考えているのであれば、地域のエクステリア業者に相談することをお勧めします。

土木業者

土木業者とは、道路を作ったり橋を架けたりする業者で、重機(建設機械)を使った大きな工事が得意です。したがって、細かい仕上げなどはあまり得意ではありません。土木業者は、一般住宅において宅地の造成や土留めの擁壁やブロック積みを請け負うことが多いです。これは家を建てる前に、地盤を家が建てられるようにする工事です。

ほとんどの場合は、ハウスメーカーや建築業者が発注するので、あなたが直接土木業者に発注することはないでしょう。

組み立て専門業者

エクステリア業者の中には、カーポートやテラス、物置の組み立てを専門にしている業者もあります。この業者は、金物(カーポートなどのアルミ製品や物置など)の組み立てに関しては手早く、どんな加工もこなすのですが、ブロックを積んだりするいわゆる外構工事は得意ではありません。

ガーデンデザイナー・設計事務所

ガーデンデザイナー・設計事務所は、あまりなじみがないかもしれませんが、造園・外構のプラン(設計)を専門に行っている業者です。実際の施工は工事会社や職人さんに発注するのが基本的なスタイルです。

ここに依頼するメリットは、設計力に優れ斬新なプランを提案してくれることにあります。また、設計したイメージ通りになるよう現場の施工管理もしっかり行います。逆に、まかせきってしまうと”やりすぎ”なんてこともあり得ます。通常、造園・外構工事の設計・見積もりは無料なところが多いのですが、設計事務所は設計料がかかるのが一般的です。

ハウスメーカー

ハウスメーカーに依頼するメリットとして、造園・外構工事の施工金額が住宅の工事金額と合算して住宅ローンが組めることです。また、施工業者を自分で探す必要が無いことも魅力の一つになります。

しかし、前にも述べたように工事金額にはかなり余計な経費が掛かっていて、工事金額が高額になります。したがって、家を建てる前の造成工事を除いては、できれば避けた方が良いでしょう。

ここまで施工業者の特長について述べてきましたが、あなたが今回どんな工事をしたいのかを明確にし、門周りやガレージなどの外構工事がメインであればエクステリア業者に、植栽がメインなら造園業者に、デザイン重視で他と差を付けたいのであれば設計事務所にと、それぞれ目的に合った業者を選択しましょう。

優良施工業者の条件

理想どおりの庭をつくるには、優良な施工業者に出会えるかどうかでほとんど決まってしまいます。そこで、優良施工業者を見るけるためのポイントを解説します。

規模より実績があること

施工業者の良し悪しは、どこで判断して良いのかが全くわからないと思います。そこで、信頼できる工事業者かどうかを判断する基準の一つとして「実績をみる」ということをおすすめします。

具体的には、「過去にどのような工事を手がけたのか?」「どのようなデザインが得意なのか?」「どの位の施工例があるのか?」などを確認してみましょう。優良な業者さんは施工例の写真など見せてくれます。また、実際の現場も見せてもらいお施主さんの話を伺うのもよいかもしれません。

ほかに、「どんな資格を持っているのか」「業界のコンテストの受賞経験」などを聞くことも参考になります。これらを持っているから一概に優良な施工業者とは言えませんが、少なくともプロとしての知識や経験を積んでいることになりますので判断する基準になるはずです。

お客様を第一に考えている業者(お客様第一主義)

もともと下請け体質の造園・外構業界は、お客様より元請け会社や自社の利益を優先に考えてきた傾向にあります。そのため、「利益重視 ⇒ 手抜き工事 ⇒ アフターサービスがない」などの悪いことが起きていました。

しかし、近年は直接エンドユーザーと契約する業者が増えてきました。その結果、お客様との距離が縮まり、手抜き工事をする業者は少なくなってきたのです。また、競合他社との競合により切磋琢磨することで技術力やサービスも向上しています。

あなたが、庭の計画を立てる上で一番の悩むのが予算ではないでしょうか。お客様を第一に考えている業者さんは、予算の相談にもとことん付き合ってくれるはずです。

「これは、無駄だからやめましょう!」「ここは、目立たないので材料のランクを下げましょう!」「ここは、今すぐ必要では無いので予算が出来てからにしましょう。」など。

このような提案をしてくれる業者なら安心です。

安さを売りにしている業者は要注意

近年、100円ショップやディスカウントショップなどの安売りを武器にした店舗多くなりました。その結果、一般の人たちは何でも「安ければ良い」という感覚を持ってしまいました。

造園・外構工事も「安ければいい」と考えている方もお見えになります。これは、大きな間違いです。

例えば、テレビなどの出来上がったもの(完成品)であれば、「このテレビは、あちらの店の方が○○円安い」と、同じ商品でも安い方を買えばお得です。しかし、造園・外構工事は大量生産できません。

それぞれの現場に合わせ、職人の手によって作りあげていくものです。工事費には材料費はもちろん、職人の人件費がかかってきます。したがって、そんなに金額を安くできるはずはありません。また、業者も存続していかなければならないので、工事をするごとに赤字であるわけにはいかないのです。

あなたが、値引き交渉をして安くなったと喜んだとしても、業者は利益を出さなければなりません。そこで、利益を出すには手抜き工事をするしかないのです。また、悪徳業者はそれに加えて追加工事という名目で高い金額を請求してくることもあります。結果、喜んでいたのもつかの間で、泣きを見るのはあなたなんてことにもなりかねません。

また、相見積もり(3社程度から見積もりを取り価格を検討する)を取った場合、同じ工事の内容でも金額が大きく違った場合、内訳や構造を確認する必要があります。

材料は、「どこのメーカーのどの商品なのか(メーカー・品番)」「大きさ」「数量」などを確認しましょう。特に見積書に一式と書かれているものについては、充分業者に確認しましょう。

構造も見積書からは読み取れないため、必ず業者に確認しましょう。

例えば、以下のような内容を確認します。

ブロック積み:基礎の幅、厚み、鉄筋の量

車庫のコンクリート:採石の厚み、コンクリートの厚み、メッシュ筋の有無

植栽:支柱、肥料

金額だけでなく、上記に記したような内容をしっかり確認しましょう。

ブロック積み基礎

メッシュ筋(ワイヤーメッシュ)

安い業者ではなく、信頼できる業者を探す

造園・外構工事を行う場合、「工事費用を安く済ませたい」と思うのは当然です。ただ、「あっちの店の方が安かったけど、もっと安くならないの」という前に、なぜ、あっちの店が安いのか? ちゃんとした材料を使っているのか? 構造はしっかりしているのか? をしっかり確認する必要があります。

無理に値段を下げさせれば手抜き工事や、あとで追加工事といって高い金額を請求されることもあります。結果的に泣きを見るのは、あなたです。そのことを理解して、値引き交渉は慎重に行うべきです。信頼できる業者さんであれば、「どこをどのようにすれば安くできる」「材料をこれにすれば安くなる」など、親身になって相談に乗ってくれます。

業者選びにおける優先順位は、”安さ”ではなく、”信頼できる業者さん”を探すことです。金額の安さだけで判断するのは絶対に危険です。そういう意識をもって慎重に業者さんを選びましょう。

保証・アフターサービスが充実している

保証やアフターサービスが充実した業者は、信用できます。しかし、どのような保証やアフターサービスがついているのか明確にしていない業者が多くあります。また、業者によりまちまちなのも事実です。

保証には、施工面の保証と製品の保証があります。

施工面の保証とは、例えば「タイルがはがれた」「土間のコンクリートが割れた」「植木が枯れた」などあります。

通常、植栽に関しては1年、土間コンクリートは2年、ブロック積みは5年といわれていますが、特に決まりはありません。必ず契約時に保証の内容に関して書面で取り交わしてください。口約束だけでは、言い訳をして逃げられることもあります。悲しいことですがこのような業者も多くいるのも事実です。

製品保証とは、カーポートやフェンスなどの製品の不具合についての保証です。メーカー保証なので、施工上のミスにより製品に付けた傷についてはメーカーは保証してくれません。

実は、製品についてのクレームのほとんどが商品についた傷やへこみで、施工上のミスなのです。それでは、それについて施工店がしかりと保証してくれるかというと疑問です。

例えば、カーポートに傷やへこみがあった場合、業者はカーポートを一式交換しなければなりません。しかし、カーポート一式交換するにはかなりの金額がかります。そのため、その傷を隠したり言い訳をしたりして逃げてしまう業者もあるので注意が必要です。

改めて言いますが、契約時に保証内容を書面にて確認して下さい。「こんなこと言うと嫌がられていい仕事してくれない」と思うかもしれませんが、はっきり言うことで業者はあなたの思いをちゃんと理解してくれます。あなたは、業者の顔色をうかがう必要はありません。

まとめ

ここでは、施工業者について述べてきました。そこで業者選びで大切なことは、あなが、どのような庭を作りたいのかを明確にすることです。そのうえで、それに強い業者を見つけること、また、その業者の実績や保証内容など確認することで優良業者を見つけることができます。